『SONG CATCHER』について、もう少しだけ。関わったミュージシャン、スタッフについても見ておきたい。
まず音楽プロデューサーはデビッド・マンスフィールド。この人は、監督/脚本のマギー・グリーンウォルドの旦那様でもあるらしいのだが、いちばんの注目ポイントは、ディランのローリング・サンダー・レビューのツアー・メンバーだったことだろう。
正直、ノーマークというか、まったく印象に残っていなかったので、アルバムのクレジットをチェックしてみたら、担当楽器はスティール・ギター、マンドリン、バイオリン、ドブロとなっている。なるほど、最初からそういう立ち位置の人だったわけね。となると、この映画の脚本に関してもなんらかの形で影響を与えていた可能性がありそうだ(余談ながら、このときのツアーにはTボーン・バーネットもギターで参加している)。
この75年のツアーに関しては、CD14枚組のボックス・セットというとんでもないシロモノが、つい最近発売されたばかりだ。お好きな方にはたまらないだろう。ちなみに、私はまだ手に入れてない^^; CD2枚組の旧バージョンで充分なような気もするし。安いっちゃぁ安いんだけどね。う~ん……。
映画に出演しているミュージシャンで、いちばんよく知られているのはタジ・マハールだろう。中盤に登場してクロウハンマー・バンジョーのプレイを披露してくれる。正直、本編とはほとんど関わりがなく、昼間の地上波TVの映画枠だったら、真っ先にカットされそうなシーンではある。無理やりタジ・マハールが出演する場面を挿入させた印象もなくはない。こちらとしては貴重な映像が見られてありがたいのだけれど。
タジ・マハールは、マルチ・プレイヤーで、ブルースにとどまらず、さまざまなスタイルの音楽を積極的に取り入れている。白人系の伝統音楽にも通じているので、そういう縁もあって出演することになったのだろう。そういえば、若い頃はライ・クーダーとライジング・サンズというバンドを結成していたりもしたっけ。こちら↓は後年の共演の様子。
バーン・ダンスのシーンで、いきなりヘイゼル・ディケンズが登場してくるのには驚いた。乱闘騒ぎのあとで、ペシミスティックな「Oh Death(Conversations With Death)」が歌われるシーンだ。最初に歌いだすのは、シュワちゃんに「ありゃウソだ」と崖から逆落としにされるかわいそうな役で有名な(?)デビッド・パトリック・ケリー。悪役専門の役者さんかと思っていたら、歌も歌えるのね。
これを引き継いで歌うのが、ほんまもんのオールドタイマーであるボビー・マクミロンとヘイゼル・ディケンズだ。
ヘイゼル・ディケンズはヘイゼル&アリスとしての活躍などで、日本のフォーク・ファンやブルーグラス・ファンにもよく知られた存在ではあったが、映画では名もなき老婆という扱いで、とくにフィーチャーされているわけではない。よく事情をご存知ない方に「音痴なばあさんだな~」と誤解されはしなかったかと、よけいな心配をしてしまう……。
一方、役者としてもそこそこの活躍をしているのが、ローズ・ジェントリー役のアイリス・ディメントだ。カントリー系のシンガー・ソングライターと言っていい人なのだろうが、フィドルのみをバックに歌う「Pretty Saro」は、この映画の音楽的なハイライトの1つと言える。
この演奏は、バックのメンバーがなかなかすごい。フィドル・フィーバー(ジェイ・アンガー、ラス・バレンバーグ、モリー・メイソン)+ドーナル・ラニー(ブズーキ)という、もろ私好みのメンツだ。
バーン・ダンスのシーンでは、「Sally Goodin」「Old Joe Clark」「Lether Britches」というフィドル・チューン3連発もあって、当然のようにクロッグ・ダンスも出てくるのだが、このときのバンドのメンバーは、バンジョーがシーラ・ケイ・アダムス、アパラチアン・ダルシマーがドン・ピディ(とお読みするのでしょうか?)、ギターはトム・ブラッドソー役の俳優エイダン・クイン。フィドルの若いお兄さんは、残念ながら名前がわからなかった。
俳優陣で歌を披露するのは、前述のエイダン・クイン、デビッド・パトリック・ケリーのほか、ベテラン女優のパット・キャロル、エミー・ロッサム、主役のジャネット・マクティアなど。エミー・ロッサムは、失われたかと思われていた伝統的な唱法を継承していた少女という大事な役どころだが、この映画がデビュー作。まだ永久歯も生えそろっていないようなあどけない容姿ながら、歌も演技もなかなかだ。のちに『オペラ座の怪人』のヒロインを務めることになるくらいの逸材だものね。とはいえ、正直、ネイティブな山の民とは思えないこぶし回しだと思って調べてみたら、やはりニューヨーク出身だった……。
ところでこの映画、なぜかちゃんとしたサウンドトラック盤は出ていない。そう銘打ったCDはあるのだけれど、映画で使われていた歌は「Pretty Saro」(アイリス・ディメント)、「Barbara Allen」(エミー・ロッサム版とエミルー・ハリス版)、「Conversations With Death」(ヘイゼル・ディケンズほか)、「Single Girl」(パット・キャロル)の5曲だけ。あとは映画とは直接関係ないロザンヌ・キャッシュやドリー・パートンやギリアン・ウェルチなどの歌が入っている。カントリー・ファンへの配慮ですかね???
まず音楽プロデューサーはデビッド・マンスフィールド。この人は、監督/脚本のマギー・グリーンウォルドの旦那様でもあるらしいのだが、いちばんの注目ポイントは、ディランのローリング・サンダー・レビューのツアー・メンバーだったことだろう。
正直、ノーマークというか、まったく印象に残っていなかったので、アルバムのクレジットをチェックしてみたら、担当楽器はスティール・ギター、マンドリン、バイオリン、ドブロとなっている。なるほど、最初からそういう立ち位置の人だったわけね。となると、この映画の脚本に関してもなんらかの形で影響を与えていた可能性がありそうだ(余談ながら、このときのツアーにはTボーン・バーネットもギターで参加している)。
この75年のツアーに関しては、CD14枚組のボックス・セットというとんでもないシロモノが、つい最近発売されたばかりだ。お好きな方にはたまらないだろう。ちなみに、私はまだ手に入れてない^^; CD2枚組の旧バージョンで充分なような気もするし。安いっちゃぁ安いんだけどね。う~ん……。
映画に出演しているミュージシャンで、いちばんよく知られているのはタジ・マハールだろう。中盤に登場してクロウハンマー・バンジョーのプレイを披露してくれる。正直、本編とはほとんど関わりがなく、昼間の地上波TVの映画枠だったら、真っ先にカットされそうなシーンではある。無理やりタジ・マハールが出演する場面を挿入させた印象もなくはない。こちらとしては貴重な映像が見られてありがたいのだけれど。
タジ・マハールは、マルチ・プレイヤーで、ブルースにとどまらず、さまざまなスタイルの音楽を積極的に取り入れている。白人系の伝統音楽にも通じているので、そういう縁もあって出演することになったのだろう。そういえば、若い頃はライ・クーダーとライジング・サンズというバンドを結成していたりもしたっけ。こちら↓は後年の共演の様子。
バーン・ダンスのシーンで、いきなりヘイゼル・ディケンズが登場してくるのには驚いた。乱闘騒ぎのあとで、ペシミスティックな「Oh Death(Conversations With Death)」が歌われるシーンだ。最初に歌いだすのは、シュワちゃんに「ありゃウソだ」と崖から逆落としにされるかわいそうな役で有名な(?)デビッド・パトリック・ケリー。悪役専門の役者さんかと思っていたら、歌も歌えるのね。
これを引き継いで歌うのが、ほんまもんのオールドタイマーであるボビー・マクミロンとヘイゼル・ディケンズだ。
ヘイゼル・ディケンズはヘイゼル&アリスとしての活躍などで、日本のフォーク・ファンやブルーグラス・ファンにもよく知られた存在ではあったが、映画では名もなき老婆という扱いで、とくにフィーチャーされているわけではない。よく事情をご存知ない方に「音痴なばあさんだな~」と誤解されはしなかったかと、よけいな心配をしてしまう……。
一方、役者としてもそこそこの活躍をしているのが、ローズ・ジェントリー役のアイリス・ディメントだ。カントリー系のシンガー・ソングライターと言っていい人なのだろうが、フィドルのみをバックに歌う「Pretty Saro」は、この映画の音楽的なハイライトの1つと言える。
この演奏は、バックのメンバーがなかなかすごい。フィドル・フィーバー(ジェイ・アンガー、ラス・バレンバーグ、モリー・メイソン)+ドーナル・ラニー(ブズーキ)という、もろ私好みのメンツだ。
バーン・ダンスのシーンでは、「Sally Goodin」「Old Joe Clark」「Lether Britches」というフィドル・チューン3連発もあって、当然のようにクロッグ・ダンスも出てくるのだが、このときのバンドのメンバーは、バンジョーがシーラ・ケイ・アダムス、アパラチアン・ダルシマーがドン・ピディ(とお読みするのでしょうか?)、ギターはトム・ブラッドソー役の俳優エイダン・クイン。フィドルの若いお兄さんは、残念ながら名前がわからなかった。
俳優陣で歌を披露するのは、前述のエイダン・クイン、デビッド・パトリック・ケリーのほか、ベテラン女優のパット・キャロル、エミー・ロッサム、主役のジャネット・マクティアなど。エミー・ロッサムは、失われたかと思われていた伝統的な唱法を継承していた少女という大事な役どころだが、この映画がデビュー作。まだ永久歯も生えそろっていないようなあどけない容姿ながら、歌も演技もなかなかだ。のちに『オペラ座の怪人』のヒロインを務めることになるくらいの逸材だものね。とはいえ、正直、ネイティブな山の民とは思えないこぶし回しだと思って調べてみたら、やはりニューヨーク出身だった……。
ところでこの映画、なぜかちゃんとしたサウンドトラック盤は出ていない。そう銘打ったCDはあるのだけれど、映画で使われていた歌は「Pretty Saro」(アイリス・ディメント)、「Barbara Allen」(エミー・ロッサム版とエミルー・ハリス版)、「Conversations With Death」(ヘイゼル・ディケンズほか)、「Single Girl」(パット・キャロル)の5曲だけ。あとは映画とは直接関係ないロザンヌ・キャッシュやドリー・パートンやギリアン・ウェルチなどの歌が入っている。カントリー・ファンへの配慮ですかね???